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古代の人はカカオが持つ神秘のパワーを知っていた
最近、健康志向のチョコレート商品を、売り場でもよく見るようになりましたよね。
事実、チョコレートには、健康に良い成分がたっぷり!体にも脳にも心にも、いいことがいっぱいあるんです。
チョコレートの原料は、みなさんご存知の「カカオ」。
このカカオ、古代メキシコでは、神が人間に授けたという神話もあるほど貴重なもの。神秘的な力を持ち、知識やエネルギーの源とされ、儀式などに用いられていたようです。
また、のちに伝わったヨーロッパでも、はじめは薬として利用されていました。健康増進や滋養強壮などの効用が伝えられていたのだそう。カカオの樹の学名「テオブロマ・カカオ」は、ギリシャ語で「神の食べ物」を意味しています。
チョコレートは昔から、元気やエネルギーを得るために摂り入れられてきたのですね。
そんなチョコレート信仰は決して迷信にあらず!チョコレートがどれほど健康に役立つ成分が入っているか、具体的に見ていきましょう。
病気や老化をバリア!カカオポリフェノール
チョコレートの成分で一番よく知られるのが、「カカオポリフェノール」です。
そもそもポリフェノールとは、植物が紫外線による酸化ダメージなど活性酸素の影響から、自分の身を守るために作り出す抗酸化成分。
このポリフェノールが、カカオを原料とするチョコレートにも含まれています。
植物のチカラが詰まったカカオポリフェノールには、私たちの体に良いことがたくさんあります。一つずつご紹介しましょう。
血圧を下げる
カカオポリフェノールには血圧を下げる作用があり、血圧改善が期待できます。
通常、血管が詰まって細くなると、血圧が上昇します。カカオポリフェノールは、この血管詰まりの原因となる血管壁の炎症を軽減する作用があることから、血流の改善が期待できるのです。
また高血圧の人ほど、カカオポリフェノールによる血圧低下量が大きいという実験結果もあります。
動脈硬化予防
カカオポリフェノールの強い抗酸化力は、コレステロールの酸化を抑えてくれます。
悪玉コレステロールとも呼ばれるLDL-コレステロールが活性酸素の影響で酸化すると、動脈硬化を誘発します。動脈硬化はさらに、心筋梗塞など虚血性心疾患や脳卒中などの引き金になります。
カカオポリフェノールの抗酸化成分は、このLDL-コレステロールの酸化を抑える働きをすることが、研究で確認されているのです。
さらに、カカオポリフェノールが血液の流れを良くしたり、血管をしなやかにする作用も、動脈硬化の予防効果として期待されています。
肌トラブルを予防
カカオポリフェノールは、健やかな肌を保つ助けにもなってくれます。
ストレスや喫煙、アルコールの摂り過ぎなどにより、体の中で活性酸素が過剰に発生し、体の酸化が進むと、肌荒れなど、肌表面にも影響が現れます。
カカオポリフェノールは、皮膚の角質水分量の低下を防いだり、紫外線で皮膚が赤くなるのを抑える働きがあることから、肌トラブルを予防するサポートをしてくれるのです。
チョコレートがお肌の味方になってくれるなんて嬉しいですよね。
アレルギーを防ぐ
カカオポリフェノールはなんとアレルギー改善への期待も!これも抗酸化成分の成せる技です。
花粉症やダニアレルギーなどによる、かゆみ、くしゃみ、鼻水などのアレルギー症状には、活性酸素が関わっています。
カカオポリフェノールは、その抗酸化作用で活性酸素を抑えることから、アレルギーの予防・軽減も期待されているのです。
脳も若々しく
歳をとると、脳も歳をとる。この加齢による認知機能の衰えを抑える効果も、カカオポリフェノールに期待される役割です。
カカオポリフェノールが脳の血流量を増やし、脳の活動を支えるたんぱく質が脳に運ばれるのを助けることで、認知機能を高める可能性が、研究で示唆されているのです。
チョコレートを食べて脳が活性化するのであれば、何歳になっても食べたいですよね。
チョコでリラックス、テオブロミン
「テオブロミン」聞き慣れない名前ですが、これもチョコレートに含まれる成分です。
その名もまさに、カカオの樹の学名「テオブロマ・カカオ」に由来しています。
これはチョコレートの苦味となる成分で、カフェインの仲間ですが、カフェインのように神経を興奮させる作用は弱く、むしろ、自律神経を調整し、リラックスさせる効果があります。
ヨーロッパのホテルに泊まると、ベッドのかたわらに小さなチョコレートが添えられていた、そんな経験ありませんか? あれは安らかな眠りへいざなう心づかいなんですね。
またテオブロミンは、大脳皮質に作用して、集中力や記憶力を高める作用もあります。仕事や勉強に取りかかる時にチョコレートをひとくち、というのも効果的なわけですね。
ほかにも、冷え性改善から、利尿作用、血圧・血糖値を下げる作用、強心作用、歯のエナメル表面の保護まで、テオブロミンは様々な効果が報告されていて、今も研究が進められる成分です。
太りにくく、良質な脂質
体のエネルギー源となる3大栄養素は、たんぱく質、糖質、脂質。このうち最も高いエネルギーを得られるのが脂質です。
チョコレートにはカカオの脂肪分が含まれています。カカオバターとも呼ばれるものです。
このカカオの脂肪分を構成する主な脂肪酸は、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸です。
なかでも一番多いのが、ステアリン酸。これは体内に吸収されにくいことから、体脂肪として蓄えられにくいものです。また飽和脂肪酸という、酸化しにくい脂肪酸でもあります。
パルミチン酸もやはり飽和脂肪酸のひとつです。
オレイン酸は、不飽和脂肪酸の一種ですが、その中でも過酸化脂質を作りにくい性質を持っています。また、血液中の悪玉コレステロールを減らすことで、動脈硬化を予防。カカオポリフェノールと同様、抗酸化作用を持っています。
チョコレートの脂肪分は、太りにくく、良質な脂質というわけですね。
お通じを良くする、カカオプロテイン
チョコレートとお通じ、何の関係もなさそうに思いますよね。でも実は、カカオに含まれるたんぱく質の一種「カカオプロテイン」が、便通改善に効果があるという臨床結果があるのです。
そのカギは、カカオプロテインの一部が難消化性、つまり人の消化酵素で分解されにくいという特性にあります。
小腸では消化されず、大腸まで届く。これにより便量が増えたり、腸内細菌のエサとなって整腸作用を及ぼす。そんな効果が、カカオプロテインに期待されています。
腸内環境を良くする、食物繊維
カカオには食物繊維も含まれています。そのほとんどは不溶性、つまり水に溶けにくい性質です。
不溶性食物繊維は、カカオプロテインと同じように、便通を良くしたり、整腸作用があります。
おいしいチョコレートでお通じが改善したら嬉しいですね。
私たちの体に不可欠!多様なミネラル
私たちが生きるために欠かせない様々なミネラルも、カカオの中に含まれています。
カリウム、マグネシウム、カルシウム、リン、鉄、亜鉛、銅などです。
チョコレートは、コーヒーのように抽出液を飲むタイプとは違って、カカオ豆を焙煎してすりつぶしたものから作られるので、カカオのミネラルがたくさん含まれているというわけです。
血糖値の安定にオススメ、低GIの高カカオチョコレート
年々、商品バラエティーが広がるチョコレート。なかでも人気が高まるのが、高カカオやハイカカオと呼ばれる、カカオ純度の高いチョコレートです。
一般的なチョコレートのカカオ成分は30~40%くらいですが、70%などカカオ成分がぐっと高いのが、高カカオチョコレート。究極は100%ですが、苦みが強いので、これはなかなか通好みと言えそうです。
ところでこの高カカオチョコレートは、「低GIである」という最新の研究結果が出ています。
「低GI?なにそれ?」なにやら聞きなれない言葉ですよね。
GI値(Glycemic Index グライセミック・インデックス)は、食品の糖質の吸収度合いを表す数値。平たく言うと、食事のあと血糖値がどれほど上昇するかを示す指標です。
糖質は体の重要なエネルギー源ですが、摂り過ぎると血液中のブドウ糖濃度が急激に上昇します。いわゆる「血糖値が高い」状態ですね。
すると私たちの体はこの血糖の濃度を下げようと、インスリンというホルモンを過剰に分泌してしまいます。インスリンの血中濃度が高いと、大腸がんリスクを高めるなど体に負担を及ぼします。
つまり私たちが食事で気をつけたいのは、血液中のブドウ糖濃度が急激に上昇しないようにすることです。
血液中のブドウ糖濃度は、GI値の高い食べ物を食べた時ほど急激に上昇し、GI値の低い食べ物ではおだやかに上昇します。
ということは、同じ糖質量の食べ物でも、GI値によって、血中ブドウ糖濃度の上がり方が変わるということです。
チョコレートを選ぶときに、このGI値を意識して、カカオ成分の高いものを選ぶのも良いでしょう。
チョコレートの健康効果の研究も、カカオ成分の高いものがベースになっています。
もちろんなにごとも食べすぎは禁物。高カカオだからといって安心して食べすぎると脂質の摂り過ぎになりかねません。
目安では、高カカオチョコレートで1日25g程度が適量と言われています。
まとめ
カカオの実にはこんなにも体に良い成分が詰まっている。古代の人が「カカオに神秘の力が宿る」と考えたのも納得ですね。
そして、このカカオのパワーを私たちが気軽に口にすることができる食べ物、それがチョコレートというわけです。
ちなみに、チョコレートが日本に初めて伝わったのは江戸時代と言われ、輸入が始まったのが明治時代。この頃は庶民には手の届かないぜいたく品だったようです。
それが現代の日本では、誰もが気軽に親しめる食べ物に。しかもチョコレートの人気は年々拡大していて、私たちがチョコレートを買う年間支出額も年々上がっているそうですよ。
大人もチョコレートをたしなむこの頃、年代問わずチョコレート人気が広がっているのでしょうね。
そうそう、最後に覚えておきたいのが、カカオポリフェノールの抗酸化作用は、摂取後4時間ほどで消えていくと言われていること。
ですから一度に25g食べるより、数回に分けて食べるのがオススメ。最適なタイミングは、朝食後から昼食までの1回、昼食後から夕食までの1回。カカオ成分の高いチョコレートを少量、さっと口にするのが良さそうです。
チョコレートはリラックス効果も、集中力を維持する効果もあるので「仕事の合間にさっとひとくち」「くつろぎの時間に至福のひとくち」など、たしなみ方は色々。
チョコレートを、ちょこっとひとくち、ちょこちょこ食べて、心も体もリフレッシュさせましょう!